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コラム:着物 手の振り方

成人式会場では、たくさんのご友人と数年ぶりの感動の再会がとっても多いです!
そんな時に気をつけたいのが手の振り方。
洋服と同じように「わ~!!久しぶり!!!」と手を振ると袖がザッと落ちてきてしまい、二の腕が丸見えに…。
ここでは、お着物を着たときの手の振り方を伝授いたします!

振袖を例にしておりますが、もちろん他のお着物をお召しの際にもお役立てください!

着物 手の振り方
 ①遠くにいるご友人に勢いよく手を振ると袖が肩に寄ってしまい、二の腕が見えてしまいます。
 ②手を降るときは肘を曲げて顔の横で振る意識をしましょう。
また、振らない方の手を袖の中が見えないように軽くつまみながら添えると◎。

成人式に役立つコラムはこちら
より美しく見える写真のポーズ >>
車に乗るときの注意点 >>
着崩れの直し方~裾が落ちた時&帯締めがずれた時~ >>
着物での動作~歩き方&座り方~ >>

 

 

 

date:2018.02.14

コラム:着物 袖だたみの仕方

着付け会場で着物をきれいに畳むのは大変!

そんなときに役立つのが「袖だたみ」という簡単な着物の畳み方です。
一時的に収納するときなどにお役立てください!

着物 袖だたみの仕方
 ①着物を通常とは反対に羽織ります。
 ②袖口に腕を通したまま中心で合わせます。
 ③両方の袖口をずらさないように押さえながら腕を片方ずつ袖から抜きます。
 ④袖を合わせたまま片方の手で袖の角を、もう片方の手で付け根を持ちます。
 ⑤付け根を持った手を軸に袖を折り、身頃に合わせます。
  ⑥身頃に合わせた状態です。
 ⑦着物を両手で持ち直し、崩れてしまっている部分を整えます。
 ⑧先ほど折った部分が崩れないように注意をしながら着物の上下を持ちます。
 ⑨裾を袖に向かって半分に折ります。
 ⑩さらに半分に折り、袖だたみは完了です。
 収納される際は、せっかく畳んだ部分が崩れないように1度半分に折ったまま収納し、
 後から広げると、きれいに収納することができます。

 

着物の本だたみの仕方はこちらから>>>
長襦袢のたたみ方はこちらから>>>

 

 

date:2018.01.26

豆知識:着物のブランド・作家

 

 

 

ブランド

青柳(あおやぎ)

十日町老舗染匠。創案から友禅、絞り、装飾まで全工程を工場一貫生産している。
廃れつつある伝統の桶絞り染めを今でも続けているだけでなく、
「櫛引織り」や「志ぼり刺繍 飛香」などの新技術を生み出している。

浅田真央・maomao(あさだまお)

元フィギュアスケート選手浅田真央さんプロデュースの着物ブランド。
その感性を日本の伝統美の中に表現。

an・an(アンアン)

女性ファッション雑誌an・anプロデュースの着物ブランド。

IKKO(イッコウ)

メイクアップアーティストIKKOプロデュースの着物ブランド。
アンティーク調のデザインをIKKO流にアレンジした「温故知新」がデーマ。
伝統的でありながらモダンな雰囲気を醸し出す着物は、
洗練されたデザインで美しいシルエットを生み出す。

大島優子・Oshima Uko(おおしまゆうこ)

AKB48の元メンバー、女優の大島優子プロデュースの着物ブランド。
古典の柄行の中にイチゴやレース、水玉などもあしらい、
和と洋二つの顔を持つ現代的なデザイン。

押切もえ・Moe Oshikiri(おしきりもえ)

モデル・タレントの押切もえプロデュースの着物ブランド。
「ジャパニーズ・モード」をブランドコンセプトに、
古典的な着物の柄を新しい感覚でアレンジ、さらにそれを着こなすことで
より魅力と輝きを増す「スタイリッシュなキモノ」を提案。

假屋崎省吾(かりやざきしょうご)

華道家假屋崎省吾の着物ブランド。華道家として追求してきた美の世界観と、
研ぎ澄まされた感性を活かし着物をプロデュース。
花の細やかな表現や色の見え方にも妥協を許さないモノづくりは、
優美な着物の世界観を創造している。

Kansai(かんさい)

ファッションデザイナー山本寛斎の着物ブランド。
伝統的なモチーフを用いながらもスタイリッシュな世界観を表現している。

きもの 志麻(きものしま)

女優岩下志麻プロデュースの、日本人の美意識を和装の世界に蘇らせた
現代女性のための着物ブランド。
「凛とした日本の美意識」をテーマに創作されている。

京舞(きょうまい)

着物ブランド。

京友禅(きょうゆうぜん)

京都で生産される友禅染めを、他の地方のものと区別する呼称。
幾つもの工程が専門の職人によって行われる分業制のため、
加賀友禅とは異なり刺繍や金彩の装飾や華やかな柄付けが特徴。

JAPAN STYLE(ジャパンスタイル)

京都丸紅のオリジナル着物ブランド。
合繊振袖や卒業袴、七五三衣装、メンズ袴など。
古典的なモチーフを取り入れながらも合繊ならではの鮮やかな色彩、自由なデザインが特徴。

Sweet Angel(スウィートエンジェル)

「着物ageha」掲載振袖をプロデュースした着物ブランド。
花魁、王道の伝統スタイルに、モダン柄から古典柄まで幅広く創作している。

素描友禅(すがきゆうぜん)

ほぼ下絵を描かず、筆で直接生地に描いていく技法。
糸目が無く、筆遣いが分かるようなタッチが特徴。

スザンヌ・suzanne 紗衣 shy (スザンヌ)

モデル、タレントのスザンヌプロデュースの着物ブランド。

関芳(せきよし)

大正3年に新潟県十日町市で創業され、
現在では婦人服やレースなどの加工も行っている老舗ブランド。
ブライダルブランドのデザイナー、桂由美などとコラボレーションをしている。
金彩や刺繍を駆使した煌びやかでゴージャスな絵柄の染色や、優しい色彩の総絞り振袖など、卓越した技術を誇る人気メーカー。

CECIL McBEE(セシルマクビー)

ファッションブランドCECIL McBEEの着物シリーズ。
コンセプトの「ある時はキュートに、セクシーに、エレガントに…それぞれのシーンにあった一番輝けるファッションを身につけてほしい」を着物にも取り入れ、ファッションに敏感な女性に向け提案している。

滝泰(たきたい)

十日町の絞り染め名門染匠。
繊細な絞りの技術を駆使し独自に開発したおぼろ染め襲ね絞りや、染め分けと鹿の子絞りを併用し箔と刺繍を施した「慶長絞り選集」など、絞りと友禅を調和させた新しい感覚の作品を作っている。

千總(ちそう)

弘治元年(1555年)に法衣装束商として創業した京友禅の老舗メーカー。
伝統的な古典柄をベースに現代的なデザインや色彩を取り入れ、職人の手により丁寧に染め上げられた逸品振袖。

辻が花(つじがはな)

室町時代後半から安土桃山時代末にかけて発展した絞り染めの技法。
縫い締め絞りによる染め分けに、墨を用いて緻密な線画が施される。
当時一般的な染色方法であった辻が花の着物は、織田信長の妹・お市や細川ガラシャなどが肖像画の中に着用した姿を見られるだけでなく、上杉謙信、豊臣秀吉、徳川家康などの武将も鎧下着や陣羽織などに使用したと伝えられている。
しかし江戸時代初期には友禅染めの出現により衰退し、現在においても当時の完全な再現は不可能と言われる「幻の染め」でもある。
「辻が花」とはある特定の花ではなく、その名称の起源についても定かでない。

現代は久保田一竹をはじめとする作家や老舗着物メーカーによる高級辻が花着物だけでなく、その絵柄の形を取り入れた辻が花文様としても着物、帯に多用される。

桐屋翠山工房 夢幻辻が花
(とうやすいざんこうぼうむげんつじがはな)

江戸寛永年間創業の十日町着物メーカー桐屋で、辻が花を制作している工房。
また、そのオリジナルブランド。デザイン、染め、絞りなどの全工程を産地内で行い、辻が花に魅せられた職人たちが手仕事にこだわって制作している。

十日町友禅(とおかまちゆうぜん)

十日町絣などの織の産地としても知られる新潟県十日町地方において、
昭和30年頃に京都から技術を導入し発展した友禅染め。技法や特徴は京友禅に近い。

トリンドル玲奈・Doll-Reina Triendl-
(トリンドルれいな)

モデル、タレントのトリンドル玲奈プロデュースの着物ブランド。

創作素描友禅作家 仲野雅峰(なかのがほう)

素描友禅作家。

菜々緒・NANAO(ななお)

モデル、女優の菜々緒プロデュースの着物ブランド。
「スタイリッシュ」をテーマに、着物自体が持つ可憐さ、格好良さ、上品さを表現。

Risa Hirako(ひらこりさ)

モデルの平子理沙プロデュースの着物ブランド。

hiromichi nakano(ヒロミチ ナカノ)

ファッションデザイナー中野裕通創設のファッションブランド。

紅型(びんがた)

型染めの技法の一つ。琉球紅型、江戸紅型など。
「紅」は色全般を指し、「型」は型絵染めの型紙を指す。題材本来の色だけでなく、豊かな色合いで仕上げている。
植物染料を使い原色の強い色が出る琉球紅型に対し、江戸紅型は顔料の優しい色合いが特徴。型染めの絵柄をデザインとして取り入れた紅型調の着物・帯も多い。

絞り染め作家 藤井裕也(ふじいひろや)

絞り染色作家藤井浩の長男として、幼い頃より染色の環境で育った絞り染色作家。
ファッションショーへの出品や外国人デザイナーとの共同制作を通し、新進気鋭の作家として斬新なモチーフの作品を創作。
チューリップやハート柄などの大胆なモチーフが特徴。

藤井リナ・LENA FUJII(ふじいりな)

ファッションモデル藤井リナプロデュースの着物ブランド。
「JAPANESE CUTE POP」をコンセプトに、正統派古典模様のモチーフをポップな印象でデザイン。ファッショナブルな新しい「和」の世界観を表現している。

伝統工芸作家 藤林徳扇
(ふじばやしとくせん)

延宝八年(1680年)に初代徳扇が宮内庁御用達の御旗の織り匠として創業以来、今に至るまで300年以上代々名を継承している。
十二代徳扇は紺綬褒章・黄綬褒章受章のほか、ヴァチカン市国ローマ法王やダイアナ妃生家オルソープ城への作品の収蔵、ユネスコ・グリーティング・カード・アーティストの連続選出など、国際的にも揺るぎない評価を得る。
作品は「徳扇コスモアート」と呼ばれ、時が経っても変色しない本金糸や本プラチナ糸を使用した贅沢な駒刺繍が特徴。
またダイヤモンドやエメラルドなどの五大宝石をパウダー状にしたものを絵の具にし、「優雅・格調・貴品」を創作の理念とした作品を生み出している。

PRINCESS FURISODE
(プリンセスフリソデ)

振袖ブランド。Cute&Pop・MODE・レトロ・古典の4カテゴリーを展開。
他には無い独自のスタイルを確立している。

本加賀友禅・加賀友禅
(ほんかがゆうぜん・かがゆうぜん)

京都の人気絵師であった宮崎友禅斎が金沢に移住後、発展に寄与したと言われる友禅染め。
加賀五彩と呼ばれる臙脂・藍・黄土・草・古代紫の色遣いや、虫食いの表現、外側から内側へぼかしていく表現が特徴。加賀友禅作家は加賀染振興協会に登録された者のみであり、落款は品質の証でもある。
制作は分業ではなく作家個人で行われるため、刺繍や金彩加工が用いられることは少なく、絵柄が多いものは高値が付く。

益若つばさ・Tsubasa
(ますわかつばさ)

ファッションモデル益若つばさプロデュースの着物ブランド。

京友禅作家 松井青々(まついせいせい)

京友禅の代表的作家。
松の井の水とともに、松の緑がいつまでも青々と生き生きしているように、作風もそうである事を願ったのが、青々のいわれ。

SEIKO MATSUDA(松田聖子)

歌手・女優の松田聖子プロデュースの着物ブランド。ブランドイメージは天使。

手描友禅作家 松本健一(まつもとけんいち)

30年以上に亘り制作を続けていた手描友禅作家。
「佳き日を彩るきもの」をテーマに、花鳥風月、四季折々の自然の美を活かした友禅作品が特徴。

明星軒(めいせいけん)

京都の老舗呉服問屋啓明商事の着物ブランド。

山口美術織物
(やまぐちびじゅつおりもの)

皇室御用達であり、映画などにも衣装提供をしている西陣の着物メーカー。
織りや刺繍で表現された淡く優しい色遣いの着物や、唐織の帯など。

友禅競技会受賞柄
(ゆうぜんきょうぎかいじゅしょうがら)

今年で68回目を数える京都で最大規模の京友禅の展示会、
またその審査会で受賞した柄の着物。

吉澤友禅
(よしざわゆうぜん)

十日町友禅関連会社の中で最も歴史の古い家柄である「吉澤家」、その八代続く妥協しない着物作りが数々のヒット作を生み出している吉澤織物謹製のブランド。
舞踊家や文楽の人間国宝とのコラボレーション振袖ブランドは、本格古典調友禅振袖として確立され、全国のデパート・専門小売店で最も扱われている人気商品。
「美しいキモノ」などの着物情報誌にも頻繁に掲載され、認知度も高い。手描友禅や型友禅などの加工度の高い逸品を丁寧に作り続け、高級ゾーンながら確実に一定の要望に応えている。長年培った意匠力、技術力などの経験の累積を活かし、自社にて手仕事による工場一貫生産で素晴らしい着物を生み出している。

吉乃一廉
(よしのひとかど)

辻が花作家。「幻の染め」辻が花に魅せられ、絞りや素材を含めた独自の染色方法を探求、「一廉辻が花」を確立させる。
意匠・色彩にも現代的なセンスを融合させた新作品を次々と世に送り出し、現在は後進の指導に努める傍ら、更なる独自の染色の世界の確立を目指し、創作活動に専心している。
金通しの入ったモダンな色遣いの生地に、高度な技術の絞り染め、幻想的な世界観が特徴。

LaBelles(ラベルズ)

女子大生プロデュースブランド。
おしゃれ好きな女子大生読者モデルサークルの「女の子たちの着たい」から生まれた振袖・袴ブランド。

和田光正(わだみつまさ)

金彩友禅作家。伝統工芸士認定、卓越技能者『現代の名工』(厚生労働大臣表彰)、京都府伝統産業優秀技術者『京の名工』として表彰、秋の叙勲に際し瑞宝単光章受章他、一代で輝かしい経歴を持つ。ふっくらと立体感があり、また丈夫な金彩加工が特徴。

和風館
(わふうかん)

京都丸紅のオリジナル着物ブランド。個性的でレトロ可愛い振袖を多数創作。

 

 

 

 

作家

加賀友禅作家 相河達博(あいかわ たつひろ)
本加賀友禅作家 青木たか子(あおき たかこ)
加賀友禅作家 石貫華峰(いしぬき かほう)
加賀友禅作家 池田裕(いけだ ゆう)
白山公房謹製 市川純一郎(いちかわ じゅんいちろう)
本加賀友禅作家 稲手明仁(いなで あきひと)
本加賀友禅作家 上田修壮(うえだ しゅうそう)
加賀友禅作家 上野清江(うえの せいこう)
本加賀友禅作家 内嶋さつき(うちしま さつき)
本加賀友禅作家 大久保謙一(おおくぼ けんいち)
本加賀友禅作家 太田征夫(おおた いくお)
手描友禅作家 岡村蒼風(おかむら そうふう)
加賀友禅作家 奥野義一(おくの よしかず)
本加賀友禅作家 小田美知代(おだ みちよ)
加賀友禅作家 金村信(かねむら しん)
加賀友禅作家 釜谷一二(かまや いちじ)
本加賀友禅作家 河江真百美(かわえ まゆみ)
本加賀友禅作家 北田弓子(きただ ゆみこ)
加賀友禅作家 黒田勲(くろだ いさお)
本加賀友禅作家 佐藤克司(さとう かつじ)
本加賀友禅作家 澤田谿女(さわだ けいめ)
本加賀友禅作家 庄田和晃(しょうだ かずあき)
本加賀友禅作家 高岸小波(たかぎし こなみ)
臈纈作家 高田昭(たかだあきら)
本加賀友禅作家 武部良信(たけべ よしのぶ)
多崎元人(たさき もとひと)
本加賀友禅作家 田嶋秀之(たじま ひでゆき)
本加賀友禅作家 田中勲(たなかいさお)
本加賀友禅作家 田辺瑞恵(たなべ みずえ)
加賀友禅作家 谷崎善治(たにざき よしじ)
本加賀友禅作家 茶谷孝志(ちゃたに たかし)
加賀友禅作家 鶴見保次(つるみ やすじ)
加賀友禅作家 寺西光方(てらにし みつかた)
手描友禅作家 遠田藤舟(とおだ ふじふね)
本加賀友禅作家 東藤岳(とうどう がく)
本加賀友禅作家 中出学(なかいで まなぶ)
創作素描友禅作家 仲野雅峰(なかの がほう)
加賀友禅作家 中政雄(なか まさお)
本加賀友禅作家 西川健一(にしかわ けんいち)
伝統工芸紬 本手絞り 西川次郎(にしかわ じろう)
本加賀友禅作家 西野進(にしの すすむ)
本加賀友禅作家 野村絵美(のむら えみ)
本加賀友禅作家 百貫廣樹(ひゃっかん ひろき)
絞り染め作家 藤井裕也(ふじい ひろや)
伝統工芸作家 藤林徳扇(ふじばやし とくせん)
加賀友禅作家 法邑利博(ほうむら としひろ)
本加賀友禅作家 牧野顕三(まきの けんぞう)
京友禅作家 松井青々(まつい せいせい)
本加賀友禅作家 松島由美(まつしま ゆみ)
本加賀友禅作家 松任いち(まつとう いち)
手描友禅作家 松本健一(まつもと けんいち)
本加賀友禅作家 源寛(みなもとの ひろし)
本加賀友禅作家 宮野勇造(みやの ゆうぞう)
本加賀友禅作家 村上堅正(むらかみ けんしょう)
本加賀友禅作家 柚野久美子(ゆの くみこ)
本加賀友禅作家 横山秀一(よこやま しゅういち)
辻が花作家 吉乃一廉(よしの ひとかど)
本加賀友禅作家 吉村伊佐子(よしむら いさこ)
本加賀友禅作家 吉本大輔(よしもと だいすけ)
和田光正(わだ みつまさ)

 

date:2017.12.09

豆知識:着物の文様

 

 

 

 

器物文様

弓・矢・刀・笛・太鼓・筆・屏風などあらゆる道具や生活用具を文様化したもの。単独で用いたり、季節の草花を集めた花籠を取り合わせたものなど、多種多様に組み合わされたものがある。

網干文(あぼしもん)

漁に使う網を乾燥させるのに網を用いて吊るした三角錘状の形。
その網干の図柄を海辺の風景模様などの中に配したもの。

筏文(いかだもん)

流水に丸太や竹を並べて藤蔓や縄などで結びつけたもの。
これに桜の落下や花枝を添えたものを花筏という。上品な古典文様として今も受け継がれる。

糸巻文(いとまきもん)

織物の糸を巻く粋状になった中が空洞のもので玉のように丸く糸を巻きつける立体的な図柄。

団扇文(うちわもん・うちわちらし)

団扇には円形、方形、軍配や天狗の持物の鳥の羽でつくった羽団扇などがある。
それらの形の面白さから、桃山時代以降に衣装の文様に用いられた。

扇散らし文(おうぎちらしもん)

室町時代に無地の料紙の屏風に扇面形を自由に散らし、扇面形の中に原始物語絵巻などの絵画を描いた屏風絵が流行した。
この屏風絵の影響で衣装の文様にも扇散らしが用いられた。

扇文(おうぎもん)

室町時代に無地の料紙の屏風に扇面形を自由に散らし、扇面形の中に原始物語絵巻などの絵画を描いた屏風絵が流行した。
この屏風絵の影響で衣装の文様にも扇散らしが用いられた。

貝合わせ文(かいあわせもん)

貝合わせとは、蛤貝の内側に対になる絵柄を描いた貝殻を身と蓋の部分を分けて一対として数を多くとって争う平安時代以来の貴族の遊び。
その貝を散らして文様化したのが貝合わせ文。

貝桶文(かいおけもん)

貴族の遊びである貝合わせの貝をおさめる用具。一対の貝殻を探し、組み合わす貝合わせの用具は貴族の間では結婚の縁起物と考えられていた。

垣文(かきもん)

家屋の周囲を囲って内と外の仕切りにした垣の文様。
様々な素材があり、衣装の文様として御所解模様の中によく用いられ、形の美しさから風景文様の一部に情趣を添える意味で樹木や草花と共に描かれる。

隠れ笠(かくれがさ)

藁や茅(かや)などで作られた、防寒や雨などから身を守るための笠。
被ると他人から姿が見えなくなるために隠れ傘と呼ばれる。

笠文(かさもん)

笠は被り物のこと。江戸時代には笠が縦に並んだ柄や散らし文様にしたものが多く用いられたが、明治以降帽子が普及し、特に昭和時代になってからは麦藁帽子が流行したため従来の笠は文様にも使われる事は稀となった。

傘文(かさもん)

手に持つ物を“傘”と区別する。江戸中期以降、
日笠や蛇の目傘などの図柄が意匠化され、使用するようになった。

蔓帯(かずらおび)

幅4cm、長さ2メートルほどの装飾用の帯を蔓帯という。
文様はリボン状の美しい幅広の紐を伸びやかにあしらったものが主流。

片輪車(かたわくるまもん)

車の半分が水に浸されて隠れている図柄が多く、
平安時代に王朝貴族が乗る牛車の車輪を乾燥しすぎないように車を外して
京都・鴨川の流れに浸した様子を元に考案されたという言伝えがある。

楽器(がっき)

太鼓、琴、笛などの楽器は音色が美しかったり大きく鳴り響くことから、
神に伝えるための良い方法とされ、
それらの楽器を記して物事の「良く成る」例えとした。

貝桶文(かいおけもん)

貴族の遊びである貝合わせの貝をおさめる用具。一対の貝殻を探し、
組み合わす貝合わせの用具は貴族の間では結婚の縁起物と考えられていた。

楽器尽くし(がっきづくし)

様々な楽器を散らして文様化したもの。
それぞれの楽器は形のおもしろさから室町時代以降は単独で絵画などに使われるようになり、文様としても発展した。

几帳(きちょう)

几帳は貴人の座側に立てて人目を避け、室内を仕切るために用いる室内の道具。
王朝時代を反映して華麗な図柄が多い。
江戸時代には王朝への憧れもあって、吉祥文様にされていた。

裂取り(きれどり)

江戸時代初期に江戸の大火で豪華な小袖を消失。
そのとき急場の策として、所蔵の織物や反物の切れ端を様々な形に切り取り、無地の小袖に貼り付け、周りの縁を刺繍したのを裂取りと称したことが由来といわれる。

薬玉文(くすだまもん)

古代中国では端午の節句に薬玉を柱などにかけておくと、
邪気を避け悪疫を除き長寿を保つ事ができるとされていた。
この風習が平安時代の頃に日本に移入され、江戸時代以降は女児の玩具として流行。
そのため七五三用などの女児の祝着の文様にも好まれるようになった。

源氏絵文(げんじえもん)

「源氏物語」のさまざまな場面を題材に描いた絵巻を源氏絵という。
源氏物語に秘められた女の喜びと悲しみを模様化したもので、王朝模様ともいう。

源氏車・御所車(げんしぐるま・ごしょぐるま)

「源氏物語」の世界を象徴する雅なもの。
御所の風景を表現した御所解き文様や源氏物語絵巻のモチーフとして、牛を除いた車だけが華やかな風情を添えて描かれることが多い。
御所車の車輪だけを文様化したものを主に源氏車と呼ぶ。

源氏香(げんじこう)

源氏香は江戸時代から行われてきた香合わせの遊びの名称。
香の組み合わせを示す符号を文様化したもの。

格天井(ごうてんじょう)

天井の組み方の一種で、角材を格子形に組み、板を張ったものを格天井といい、格子の中に豪華な四季の草花や鳥などを描がれておりその様子を文様化したもの。

古鏡(こきょう)

裏鏡(うらかがみ)、鏡裏(きょうり)とも呼び、古い鏡の裏側にある模様を文様化したもの。
正倉院に保管される金・銀・螺鈿などで装飾された美しく豪華な鏡が着物の文様としても用いられた。

小槌(こづち)

漁に使う網を乾燥させるのに網を用いて吊るした三角錘状の形。
その網干の図柄を海辺の風景模様などの中に配したもの。

琴(こと)

雅楽で用いられる箏を文様化したもの。
箏の音の高低を調節する道具の琴柱は、美しい曲線をもつことから単独で文様に用いられる。

更紗文様(さらさもんよう)

室町時代から江戸時代初期にかけて、インドやジャワ、ペルシャなどから日本に輸入された木綿の染め布を更紗といい、その布に施された異国情緒あふれる図柄を、更紗文様と呼ぶ。
図柄は人物、鳥獣、草花など様々。

地紙(じがみ)

扇に貼る紙のことを地紙という。
地紙の形の中に、草花や器物などの文様を入れたものが主流で、吉祥文様の一つ。

色紙(しきし)

和歌や俳句、絵などを描く方形の厚紙が色紙。
その形を散らして文様化したもので、色紙の中には季節の草花や風景などが描かれる。

柴垣(しばがき)

山野に自生する柴を束ねて文様化したもの。
柴垣は野趣に富んでいるため、形も大きさも様々。茶屋辻や御所解にも見られる。

蛇籠(じゃかご)

長い竹籠の形が大蛇に似ている事からこの名が付いた。
特徴のある蛇籠の形や籠の編目が文様化され、風情を表して流水と共に描かれることが多い。

笙(しょう)

奈良時代頃に日本に伝わったもの。
形が翼を立てて休んでいる鳳凰に似ているとされ、鳳笙とも呼ばれる。

陣幕(じんまく)

陣屋に張る幕のこと。
邪気を払うものとして祭礼などに用いられるようになった。
複数の幕とそれを立てる棒を描き、割付文様などがデザインされていることも多い。

水車(すいしゃ)

槌車(つちぐるま)文様ともいう。
水車の形が独特で、風情があるため平安時代頃から工芸品や染織品の文様として用いられてきた。
水車の中でも、水を受ける柄杓がついているものは、柄杓が小槌に似ている事から強調されて、槌車の文様となった。

鈴(すず)

古来、神事や祭事に使われてきた鈴は、後に楽器として用いられるようになる。
形が美しいため工芸品や染織品の文様となり、鼓や烏帽子などとの組み合わせも見られる。
小紋や染め帯の他、子供の衣裳にも使われる。

扇面(せんめん)

扇文は扇面文、扇子文とも呼ばれる。
扇の中に絵を描くことができ、文様に用いられる扇にも季節の草花や器物、動物、幾何学文様、吉祥文様などあらゆるものが描かれる。

冊子(そうし)

数冊の和綴じ本が配された文様からは、知的な印象を受けるとされる。
文様の意匠として、冊子の表を出したものや冊子を開いて季節の草花などを描いたものがある。

誰が袖(たがそで)

美しい様々な模様の小袖が衣桁に掛けられた様子を文様化したもの。
平安時代の誰が袖とは、着物の袖のことだけでなく、それを身につけた女性の着物に薫き込められた香を袖型の匂い袋に表したものの事を示したことから、その形の文様もある。

宝尽くし(たからづくし)

いろいろな宝物を並べた縁起のよい吉祥文様。
時代や地域によってモチーフは異なるが、いずれも吉祥文様となる。
印象的なものを散らしたり、宝尽くしに松竹梅を組み合わせたりと使い方は様々。

宝船(たからぶね)

米俵や宝珠などの宝物を積んだ帆掛け舟を文様化したもの。
昔は正月の二日の夜に、縁起のよい初夢を見るために宝船の絵を枕の下に敷いて寝るまじないがあった。

竹垣文(たけがきもん)

竹を組んだ垣根を文様化したもの。
竹の組み方は垂直に立てたもの、斜めに配したもの、方形に組んだものと様々。

束ね熨斗(たばねのし)

束熨斗(つかねのし)ともいわれ、文様として使われる場合は細い帯状の中に華やかな文様を入れてあしらわれる。
帯の中に華やかな草花文様を施されることが多い。

短冊(たんざく)

短冊が文様化されるようになったのは室町時代以降。
短冊の中に草花をあしらったものが主流。

鼓(つづみ)

天井の組み方の一種で、角材を格子形に組み、板を張ったものを格天井といい、格子の中に豪華な四季の草花や鳥などを描がれておりその様子を文様化したもの。

熨斗(のし)

熨斗は元々、鮑の肉を薄く剥いで引き伸ばして乾燥させた「のしあわび」を示す。
延寿を象徴するものとして細く折り畳んだ熨斗紙の間に包み、結納や進物、引き出物に添えられた。その熨斗の形をモチーフにしたもの。

花筏(はないかだ)

桜や菊などの折枝を筏に乗せた文様。
また、水面に散った花が一塊になって流れていく様子を筏に見立てた文様もある。

花車(はなぐるま)

花を乗せた車の文様。
車と式の花々を組み合わせた文様で、御所車の屋形の変わりに花をさしたもの、車の上に花籠を乗せた意匠、源氏車に花をあしらったものなど、様々な表現が見られる。

花熨斗文(はなのしもん)

花束を檀紙で包み、水引で飾ったものを花熨斗といい、包熨斗(つつみのし)の一種。
室町時代には七月七日の七夕に花熨斗を御所に贈るしきたりがあった。
花は菊や牡丹、桜などの華やかなものが中心。

花舟(はなふね)

小舟に花を乗せて文様化したもの。
四季の美しい草花を積んだ舟が、小川を流れていく風雅な意匠。

檜扇(ひおうぎ)

平安時代の貴族が装身具として使っていた扇を檜扇といいそれを文様化したもの。
檜の薄い板の上部を絹糸で綴じた檜扇は、左右に紐飾りが付いている雅なもの。

琵琶(びわ)

木製の胴が果物の枇杷に似ているため、琵琶と呼ばれるようになった。
着物や帯に描かれる琵琶は美しい草木があしらわれる事が多い。

舟・船(ふね)

海に囲まれている日本は、漁などを通して古くから舟と関わりがある。
それだけに舟の文様は種類も多彩。
帆掛け船・屋形船・南蛮船・宝船など。
単独で描かれる他、波や葦などの水草、鳥などと共に用いられるものもある。

文箱(ふばこ)

もともと書き物を入れて運ぶ箱であったが、中世以降は主に手紙類を入れて往復する箱を指すようになった。
江戸時代には蒔絵や螺鈿などの美しい飾り文箱が婚礼調度品のひとつになった。

帆掛け船(ほかけぶね)

帆船(ほせん)ともいい、帆をかけた船を文様化したもの。
庶民にとって大型の帆船は遠距離や多量の荷物を運び、珍しい品物などを運んでくる夢の乗り物だった。
こうした帆船は順風を受けて膨らんだ帆を強調して描かれ、未来への希望を感じさせる。

巻物(まきもの)

巻物の用紙を一定の幅で折り畳んだ折本や冊子(そうし)が主流となる以前は、絵巻物や経典などとして長く利用されてきた。
巻物と似た文様で巻いた絹の反物を文様化したものもあり、巻絹という。

道長取り(みちながどり)

緩やかな流れをもち、変化に富んだ曲線で囲んだ文様を道長取りといい、藤原道長が好んだ事から名づけられた。
霞取りや雲取りに似ているが、道長取りは指でちぎった和紙を斜めに配しているのが特徴。その中に様々な文様が描かれる。

物語文(ものがたりもん)

「伊勢物語」や「源氏物語」などの一場面を文様として表現したもの。
物語のワンシーンをそのまま表現したものや場面を暗示させるモチーフを配して、その世界を表現したものなど様々。
文様として最も多く使われているのは「源氏物語」である。

横笛(よこぶえ)

「源氏物語」の中に「横笛」という話があり、柏木の形見の横笛が夕霧から光源氏に渡るまでの話が綴られているため、「源氏物語」を暗示させるモチーフとして使われることがある。

 

 

光琳文様

桃山時代から江戸時代初期に活躍した尾形光琳という芸術家の名から名づけられた。
光琳が絵の題材として選んだものは菊や梅、松、波など。
それらは写生を踏まえつつも大胆に簡略化され、独特の装飾性に特徴がある。
江戸時代に爆発的な人気を得た文様。

光琳菊・万寿菊(こうりんぎく・まんじゅぎく)

菊の花の形を丸く簡略化したもので、寿命の長久を祝って万寿の字をあてた。
琳派によって様式化され、洗礼された美しさを持つことから一般的に光琳菊と呼ばれている。

光琳波(こうりんなみ)

「紅白梅図屏風」に描かれた波の作風をモチーフにした文様。
水の流れを曲線で渦を巻いたように描きながら、下に流れていく独特の装飾性に特徴がある。

光琳松(こうりんまつ)

松の木の輪郭を曲線で描いた文様。

 

 

自然文様

赤富士(あかふじ)

早朝に朝日に照らされ朱色に染まる富士山を赤富士と呼称。
主に夏から秋にかけての時期に起こるため、その時期を指す季語とされる。

稲妻文(いなづまもん)

古代日本では電光は天の火、渦巻く稲妻は雨と共に五穀豊穣の精と信じられていた。
このことから稲妻の名が起こったとされているが、定かではない。

雲文・雲霞文(うんもん・うんかもん)

古代中国では名君や龍が現れると雲気がただよい、
めでたい事が起こるとめでたい瑞雲が四方にたなびくと考えられていた。
日本でもこの思想が取り入れられて、衣装の文様に雲龍・霊芝雲などが
吉祥文として使われるようになった。
金銀などで雲や霞の文様をあらわしたものは雲霞文ともいう

ヱ霞(えがすみ)

カタカナのエの字のように表現した文様。線だけでなく横長で
ふくらみを持っていることが特徴で、着物や帯になくてはならない文様のひとつ。

海賊文(かいぶもん)

有職文様の一つで、海辺の洲に松や葉、そのほか
貝・水鳥などを組み合わせた風景模様。

家屋文(かおくもん)

藁家や楼閣や民家など家の形をした文様。
“茶屋辻風景文”の中に、様々な家屋文が見られる。

霞取り(かすみどり)

ある形で面に切取ったものを「〇〇取り」と表現する。
霞取りは霞の形に切取ったもの。

霞文(かすみもん)

霞のたなびいている様子を表した文様。一般的に直線を横に並べて描かれる他、
霧や雲のある高さに漂って、薄い帯状に見える現象も霞と表現することから、
帯状のモヤモヤとした形で描かれる事もある。

枯山水(かれさんすい)

水のない庭園を指し、石や砂などにより山水の風景を表現したもの。
石の紋様で水の流れを表現することもある。

雲取り(くもどり)

雲がたなびいている様を線や色で表した文様。
雲に隠れた部分で時間や空間の推移を想像させたり、装飾的効果も与える重要な役割を果たす場合が多い。

雪花・雪の結晶(せっか・ゆきのけっしょう)

雪の結晶の形を花のように文様化したもの。
江戸時代後期に雪の結晶が観察されるようになり、様々な雪の結晶文様が作られるようになった。

茶屋辻(ちゃやつじ)

徳川家大奥・御三家の5~9月まで着用する夏季用の式服に用いられた柄。
江戸時代初期に京都の茶屋宗理が創案したところから命名されたという説があるが定かではない。

月(つき)

古くから太陽と月は信仰の対象となり、権威の象徴ともされてきた。
平安時代には天文や暦を占う陰陽道が盛んになり、日月(じつげつ)や星が図案化され、文様として使われるようになった。

波(なみ)

寄せては返す海の波は、様々に変化する形に合わせて波頭、大波、小波、白波などと呼称される。
単独で用いられる他、千鳥や燕、兎や舟などと取り合わせて描かれることが多く、バリエーションは様々。

波頭(なみがしら)

躍動感のある波を表したもの。
寄せては返す波は果てる事が無い事から、永遠や不滅、長寿、誕生などを意味し、吉祥文様とされている。

波文(なみもん)

波が繰り返し寄せる様や、勢い良く怒涛のごとく押し寄せた波頭が岩に砕け散る瞬間を文様化したものが主流。平安時代には海賊文様の一つとして裳(も)に描かれた。
衣装の文様として使われるようになったのは桃山時代からといわれる。

星(ほし)

平安時代は、天文や歴史を占う陰陽道が盛んになった。
また、北極星を守るとされる北斗七星の信仰も起こり、星の文様化が進んだとされる。
現在は星型をモチーフにした楽しい柄が主流。

水辺(みずべ)

美しい水辺の風景を描いたもの。
波に水鳥や舟をあしらい、水草や葦などの植物を組み合わせた風情ある文様。

水文(みずもん)

水の流れを意匠化したもの。
弥生時代の銅鐸(どうたく)にも流水文様が見られることから、水は古くから文様化されていることが分かる。
他の文様と合わせて使われたり、地紋にも見られる。

雪(ゆき)

古来、大雪が降った年の春は雪解け水が豊富に出るため稲作が順調で豊作になると信じられたり、他にも雪は清らかでめでたい冬の風物とされてきた。
雪が文様として使われるようになったのは室町時代から。当時は冬をイメージするものとして使われたが現在は夏にも使用されることが多い。
雪によって冬を想像させ、涼感を得るという日本人の感性によるもの。

雪持ち梅(ゆきもちうめ)

春まだ浅い時期に咲く梅は開花してから雪に見舞われることもあり、そんな風情ある枝梅の姿を文様化したもので、桃山時代に多く用いられたといわれる。
雪の白と梅の花の紅の取り合わせは、美しい日本の四季ならではのもの。

雪輪(ゆきわ)

雪の結晶を六弁の丸い花のように表した文様。六つのくぼみがあり、その中に季節の植物を詰めたものもある。
雪は春に近づくにつれて徐々に消え、そのときの残雪を斑雪(はだれゆき)と呼びそれを文様化したものといわれる。

洛中洛外図(らくちゅうらいがいず)

室町時代の後半に作られた屏風絵。京都の街並みや四季折々の行事などが描かれる。
貴族の邸宅や社寺、庶民の住居など当時の人々の生活ぶりがうかがえる文様。

流水(りゅうすい)

曲がりくねって流れる水の様子を文様化したもの。
着物や帯に描かれる流水は多くが小川を表すとされる。
単独で用いられる他、草花や風景を添えて描かれることが多い。

楼閣山水(ろうかくさんすい)

楼閣とは高い建物を示し、「高殿」や「楼台」ともいわれる。
その建物を中心に遠くに霞む山、近くに丘を描いて遠距離を出し、生い茂る木や流れる川、橋などを添えて風景文様に仕立てたもの。

 

正倉院文様

正倉院には聖武天皇ゆかりの品々が数多く残されており、東大寺の法要や大仏開眼供養などに用いられた法具なども納められている。
それらの他に楽器や調度品などを含めて、正倉院に納められている宝物を文様化したものを総称して、正倉院文様という呼称が用いられたとされる。

 

植物文様

葵文(あおいもん)

「あおい」とは、太陽を仰ぐことを意味し、葵の花の日向性にちなんで幸先のよさを表す植物とされる。
ハート型のような葉は、他の植物と組み合わせて着物や帯に広く使われる。

アガパンサス

南アフリカから明治時代中期頃に日本に伝わった花。
6月から8月頃に花を咲かせる。
和名は紫君子蘭(むらさきくんしらん)。

秋草文(あきくさもん)

秋草は平安初期の「古今和歌集」や「万葉集」に詠まれており、古代より人々に愛されてきた。
萩・薄・撫子・女郎花・桔梗・藤袴・葛の秋の七草や野菊・竜胆など秋の野に咲く草や花の図柄。

朝顔(あさがお)

平安時代に中国から伝えられ、もともと薬用として用いたとされる。
江戸時代になると、観賞用として育てられるようになり、櫛や手ぬぐい、団扇、着物などの文様に用いられるようになった。

葦文(あし(よし)もん)

葦は古くから日本人に親しまれ、和歌に詠まれている。
夏から秋に茎の上に大きな円錐花穂を出し、多数の小穂からなる葦は、普通「ヨシ」というが、アシは“悪し”に通じるので演技を担ぎ、ヨシ“善し”としたに過ぎない。

紫陽花(あじさい)

文様として多く使われるようになったのは江戸時代以降。
紫陽花は梅雨から盛夏にかけて咲く花のため、紫陽花を単独で用いたものは夏のモチーフとなる。
五月雨に濡れて一層美しく輝いている様子を表現したものが主流。

銀杏文(いちょうもん)

銀杏の葉を文様化したもの。葉の形は扇形に近く、葉柄が長くて細い。
秋には美しく黄葉して散るとき、鶴が飛んでいるように見えることから、舞鶴に例えられた。

稲文・稲穂(いねもん・いなほ)

日本では米が主食であるため、稲は古代より富であり、宝として尊ばれてきた。
秋の稲刈りの時期には初穂を刈って、神に供え感謝の意を表す風習があり、稲作は日本人の宗教的信仰の一つの原形をなしていた。
古くから豊穣・富貴の願いの意味で、図案化して衣装に用いられてきた。

梅(うめ)

梅の花を実写や図案化した梅花文と、丸い五つの花弁を幾何学的に配列した梅鉢文とがある。
梅は百花に先駆け寒中に咲き、芳香を放つことから、めでたい文様とされている。

瓜文・きゅうり(うりもん・きゅうり)

漢字で記すと瓜のつくウリ科の植物は、実や葉、蔓の形がおもしろい事から昔から文様にされてきた。
江戸時代には庶民の浴衣にも取り入れられるようになる。

女郎花文(おみなえしもん)

秋草の一種。草姿が優しいことから詩歌の題材として愛好される。
女郎花を“思い草”とも呼ばれ、オミナは女をさし、優しい花という意味との説もある。

沢瀉文(おもだかもん)

夏に花茎の先に白い可憐な花が咲くことや、葉の形が面白い事から、平安時代の頃より衣装の文様に用いられている。

楓(かえで)

紅葉を観賞するようになったのは平安時代から。紅葉を見て、夏に疲れた身体に生気を取り込もうとする、中国の思想が伝わった事が始まりとされる。
それが時機に紅葉狩りと呼ばれるようになった。色付く前の青々とした葉は青楓、楓文と称すが、色付く途中や輪郭だけのものなどは紅葉文(もみじもん)と称することもある。
楓の名は葉が蛙の手に似ている事からの呼称といわれている。

杜若(かきつばた)

季節感のはっきりとした花で、初夏の頃紫や白の花を咲かせる。
杜若とあやめは区別が付きにくく、美女に囲まれてその順位をつけかね惑うとき「いずれアヤメかカキツバタ」と賞賛する言葉があるほど。

華文・花文(かもん)

特定の花を表現したものではなく、なんとなく花の形をした華麗な図柄。
いつの時代でも愛される普遍的な意匠デザイン。

唐草文(からくさもん)

蔓草が絡み合ったように葉・花・実をあしらい文様化したもの。
江戸中期には吉祥文様として婚礼調度に、蔓草は生命力が強く蔓をどこまでも伸ばすことから、長寿延命、子孫繁栄の象徴として用いられた。
また、唐草を単独に用いるだけではなく、松や菊、梅など蔓を持たない植物にもアレンジされ発展している。

唐子文(からこもん)

中国の唐風に装った童子を唐子といい、その人形を唐子人形という。
江戸時代から屏風に描かれていたり、子孫繁栄の願いをこめて綴れ織物に製作されている。

唐花文(からはなもん)

唐花は中国から渡米した花。
飛鳥時代から奈良時代にかけて発達した空想の花で、複雑多弁な花形文様の総称。

木苺(きいちご)

ラズベリーやブラックベリーなどを総称し、木苺と呼称される。
日本では古代から室町時代頃まで木苺属の植物が盛んに栽培されていたが、現在はラズベリー・ブラックベリーなど小規模に栽培されるのみとなる。

桔梗(ききょう)

桔梗は秋の七草の一つとして、秋草文の中に加えられている。
古くから花の観賞に加え根を薬用に重用されていた桔梗は、和歌・絵画・文様などの多くの題材にされてきた。

菊尽くし文(きくづくしもん)

江戸時代に菊の栽培が盛んとなり、種類も増加した。
様々な色や形・大きさの菊を種々組み合わせて構成したもの。

菊菱(きくびし)

菊の花を菱形に図案化したり、菱形の中に菊の花を埋めたものを総称して菊菱という。
他の菊文と同様、古くから用いられ様々な文様と組み合わせて使われる。

菊文(きくもん)

奈良時代から平安時代に掛けて中国から伝えられた菊は、長寿を象徴する代表的な植物。
観賞用や薬用として日本にもたらされたが、桃山時代に入ってからは文様としてより華やかに表現されるようになった。
梅・竹・蘭と共に、高貴な吉祥文様の一つにされている。

桐文(きりもん)

桐の木は成長が極めて早いため、江戸後期には女の子が誕生すると桐の苗を植えその子が嫁入りする頃には桐の木も大きくなり、その木でたんすを作って娘に持たせるという風習があった。
現代では婚礼衣装に多く用いられている。

草花文様(くさばなもん)

四季それぞれの草や花を実写または図案化した文様で多種多様に意匠デザインした絵柄。
モチーフとする草花の種類はその時代によって相異するが、平安時代以降日本は四季の変化がはっきりとしているためその季節に合った草花が好まれた。

小桜(こざくら)

小さな桜の花や花びらを一面に散らした文様。
季節や年代を問わず楽しめる意匠。

コスモス

秋に咲く花ということから、秋桜(あきざくら)ともいわれる。
日本には明治時代に伝えられ、秋の季語のひとつである。

五葉松(ごようまつ)

様々な図案があり、いずれも直線的な葉のラインを印象的に表現した文様。

桜(さくら)

桜が観賞されるようになったのは平安時代から。貴族たちはそれまでの梅に加えて桜を愛でるようになり、文学や美術にも登場するようになる。
当時は山桜を意匠化したものが多かったが、江戸時代には様々な桜を意匠化したものが文様として使われるようになった。

桜吹雪(さくらふぶき)

さくらほど毎年話題になる花は無く、開花を心待ちにし花を楽しみ散りゆく花びらにも思いを寄せる。
その風情を意匠化したものが桜吹雪といわれる。

桜文(さくらもん)

さくらの「さ」は稲、「くら」は神が宿る座を意味し、豊作を願って花見の宴を催し桜文様が描かれる。という説がある。
実写的に描かれたものを除き、文様化された桜は季節を問わず身につけることができる。

笹(ささ)

竹ほど背は高くならず、茎もかなり細いのが特徴。
竹と同様、めでたい文様として古くから礼装用の着物や帯に使われる。

四季草花(しきくさばな)

四季の草花や草木を取り合わせて文様化したもので、華やかな柄付け。
草花のほかに器物文様などを組み合わせた文様も指す。

枝垂れ桜(しだれざくら)

散りゆく桜の花びらと共に描かれることが多い。
枝垂れ桜は桜文様のバリエーションが増えた桃山時代以降に生まれた文様の一つ。

松竹梅(しょうちくばい)

四季変わらぬ緑を保つ松と竹、寒中に花を咲かせる梅は清らかで高雅な美しさを賞賛して、これを吉祥文様の代表とし、意匠化するようになった。
松・竹・梅を組み合わせた文様は中国における“歳寒三友”、すなわち寒さに耐え人生に益し、めでたい、賞すべき、3つの思想に由来したもの。

菖蒲(しょうぶ・あやめ)

杜若と似ているが、花びらの元が黄色くなっているものが菖蒲。
香気があり、邪気をはらうとされる。
菖蒲が単独で描かれ季節感を出されたり、御所解文様のような風景の中に流水と共に表現される事もある。

水仙(すいせん)

可憐な花をつけるため吉兆を意味する事から瑞花として新春用の花にも用いられる。

薄・芒・ススキ(すすき)

万葉の時代から、神への供え物や魔よけとして用いられてきた。
衣装の文様には単独で表現される事は少なく、他の秋草や月、小鳥などと組み合わせて写実的に描かれたものが主流。

大王松(だいおうしょう)

明治時代に輸入された大王松は新しい松文様の一つ。長い葉が特徴的な文様。

竹(たけ)

年間を通じて瑞々しい青さを失わず、旺盛な生命力を示す竹は古くから神聖な植物として神事や年占い的行事に用いられてきた。
また高潔で節操があり、松・梅と共に、寒い時期のめでたい植物として吉祥文様の一つとされる。

橘(たちばな)

古代日本の橘は蜜柑を示す。長寿を招き元気な子を授かると信じられてきたため、正月の鏡餅の上に蜜柑が乗せられるようになった。
婚礼衣装などに橘が意匠化されて用いられるのもそうした由来からである。

辻が花文様(つじがはなもんよう)

室町末期から桃山時代に掛けて一世を風靡した絞り染めを基調とした模様染めのこと。
草花を図案化して染められ、摺り箔や刺繍などをあしらうこともある。

椿(つばき)

椿が様々に意匠化され、文様として用いられるようになったのは明治以降。
春の到来を告げる聖なる木として、庶民の間で古くから親しまれてきた。
平安時代には神社の正月行事に用いられた。

露芝(つゆしば)

芝草に露が降りた状態を文様化したもの。
三日月に描いた芝草に、丸い露の玉をのせた独特の文様は日本人の美意識からうまれたもの。
露というイメージから夏の文様と思われがちだが、着物や帯には通年使用可能。

鉄線(てっせん(くれまちす))

初夏に白や紫の花を咲かせるキンポウゲ科の落葉蔓草で、鉄線花ともいう。
蔓が印象的だが、その蔓が硬く鉄の針金を思わせることからこの名が付いたとされる。

鉄線花文(てっせんかもん)

文様としては優美な花や葉、そして特徴的な蔓が図案化される。
単独で用いる場合は初夏の季節を感じさせ、他の花と組み合わせれば季節を問わず使用できる。

木賊(とくさ)

砥石の代用の草として、木材や金属の研磨に使用されたことからこの名が付いた。
単純なライン文様が好まれ、能装束や友禅染に使用されている。

撫子(なでしこ)

古くから秋の七草の一つとして親しまれてきた。
日本人女性を大和撫子と呼ぶのはその清楚で華麗な姿になぞらえてのこと。
他の秋草と組み合わせて用いられる事が多い。

南天(なんてん)

冬の庭に赤い実を付け、正月の飾りとして用いられる実。
「難転」に通ずる語呂合わせから、縁起のよい幸いを招く木として栽培されてきた。

捻梅(ねじうめ)

花弁が互いに重なり、中心から回転をかけて捻じれた形で表現された文様。
染めのほか、織りでも表現される。

野菊(のぎく)

一般的に栽培されている菊は野生のものは存在せず、菊に似た花を咲かせる植物を野菊と総称する。菊は秋の植物であることから秋に咲き、あまり背が高くなく茎に葉が付いた姿のものを呼ぶ事が多い。

萩(はぎ)

マメ科の落葉低木または多年草の総称。
文様としては花、葉、枝を図案化したものが主流。

蓮(はす)

仏教と共に日本へ伝わったもので、仏の世界の象徴とされた花。

薔薇(ばら)

西洋では美と愛の象徴とされ、様々な装飾に使われてきた。
日本で文様として人気が出たのは大正以降のこと。
現在は振袖や訪問着、小紋、浴衣などに良く使われる。

藤(ふじ)

華麗な房状の花が穂先に似ていることから、豊作を願う花として珍重されたとされる。
平安後期、藤原氏全盛の時に、藤は高く評価されて文様としても完成し、有職文様の一つとなった。単独で用いると春から初夏の季節感を演出することができる。

葡萄(ぶどう)

文様として古くから世界中に広まっていた葡萄は奈良時代に中国を経て渡来し、葡萄唐草文を用いた染織品が多くつくられるようになる。その後平安時代末期以降、日本で葡萄の栽培がされるようになったことから、古代と異なり葡萄が写実的に描かれるようになった。
多くのものは単独で用いられるが、葡萄を唐草風に文様化して、そこに栗鼠を配した「葡萄栗鼠文」もある。また、家紋には「下り葡萄」「葡萄枝丸」といった紋が見られる。

葡萄唐草(ぶどうからくさ)

葡萄の蔓を唐草文の主軸として実と葉を組み合わせた文様で、日本に伝わったのは飛鳥時代とされる。古代中国では、多くの種を持つ葡萄は柘榴(ざくろ)と共に、たくさんの果実を実らせる豊穣の女神とされた。
現代も代表的な唐草文様として、着物や帯に使われる。

宝相唐草(ほうそうからくさ)

宝相とは、宝相華(ほうそうげ)のことで、花の美しい部分を取り出して作った中国生まれの空想上の花。
宝相華は唐草と組み合わせて表現される事が多い。

宝相華(ほうそうげ)

インドから中国を経て、天平の頃に日本に伝えられたといわれる空想の花。
牡丹や芍薬、芙蓉などの美しい花の部分だけを組み合わせてつくったといわれる。

牡丹(ぼたん)

日本に牡丹が伝わったのは奈良時代。薬用だったのが観賞用となり、江戸期には一般庶民にも栽培が可能になり身近な花として親しまれた。
衣装の文様として用いられたのは平安時代から。

牡丹唐草(ぼたんからくさ)

奈良時代に中国から伝えられた牡丹は様々に文様化され、牡丹唐草もその一つ。大輪の牡丹を唐草状にすることで、空間を隙間無く埋めることができる。

松(まつ)

古代中国では松は風雪に耐え、厳寒にも常緑を保つ節操の高い、また心痛力のある仙人の思想と結合して長寿延命の印とし、日本でも古くより松は千年の寿命があり四季を通じて変わらないことから、縁起のよい木として吉祥のシンボルとした。
日本でもめでたい木として、正月には門松を立てて年神様を迎える習わしがある。

松の枝葉・枝松(まつのえだは・えだまつ)

力強い松の枝を印象的に描いた文様。
松は千年の寿命があるとされることから、長寿の祝を始め、めでたい席に季節を問わず使われる。

松の新芽・若松(まつのしんめ・わかまつ)

芽生えて間もない松の姿を表現したもの。枝先に新芽が付いているのが特徴。
新鮮で若々しい若松は、新春を祝うものに相応しいとされ、単独で使用するほか他の吉祥文様と組み合わせて使われる。

松菱(まつびし)

菱形の中に若松を入れ込んで構成した文様。松の葉が美しく配列される。

貉菊(むじなぎく)

菊の花びらを狢(むじな)の毛のように小さく密に描いて、菊花の形として文様化したもの。狢とは穴熊の別称。地方によっては狸の事を示す。

紅葉(もみじ)

楓が紅葉するとより美しくなるため、古くから文様として使われてきた。
楓と紅葉は同じ植物で、楓の葉が色付いたものを「もみじ」という。
春の桜と並んで、秋を代表する文様の一つ。

桃(もも)

古代中国では長寿の象徴であり、桃の木は邪気を払う力があるとされた。
日本でも童話の桃太郎にも絡んで、幸運・必勝の果実とされていたとされる。
ただし、衣装の文様として使われる事は稀。

八重梅(やえうめ)

小さな花びらを重ねて八重梅を表現した文様。
清楚で気品のある一重の梅に比べて、八重梅は可憐さや華やかさを感じさせる。

八重桜(やえざくら)

通常の桜は5弁だが、それ以上のものは八重桜と呼ぶ。
八重桜は花びらが幾重にも重なっているため、見た目も一層華やか。
八重桜の文様は室町時代以降に使われるようになった。

柳(やなぎ)

育てやすく繁殖が早いため、中国では強い生命力にあやかり瑞祥の植物とされた。
日本に伝わったのは奈良時代中期以降といわれ、神事や悪魔祓い、縁起物などに用いられた。

山吹(やまぶき)

山吹は「万葉集」に詠まれており、源氏物語にも記されている事から、平安時代の貴族たちが庭園に植えて観賞したことが知れる。
近年は水辺に咲く山吹文と、他の文様を組み合わせた意匠デザインを見ることがある。

百合(ゆり)

キリスト教では白百合を聖花とし、聖母マリアに捧げる習慣がある。
日本でも「古事記」などに百合にまつわる物語が見られ、「万葉集」にも多く詠まれてきた。

蘭・蘭花文(らん・らんかもん)

蘭花文ともいう。松、竹、梅と組み合わせて「四友(しゆう)」、竹、梅、菊と組み合わせて「四君子」と呼ばれる。
現在は胡蝶蘭やカトレアなどの洋蘭も着物や帯に用いられる。

乱菊(らんぎく)

菊の花びらを大きく長くして、乱れ咲いた様子を文様化したもの。
菊の花をより一層目立たせたい時に効果的な意匠。

 

動物文様

兎文(うさぎもん)

日本には月と兎の伝説と共に中国から伝わり、古代から文様にされている。
月の中の陰影をうさぎが餅つきをする姿に見立てた童話にもあるように、兎と月との関係は古い。また、兎は愛の縁結びの使いとして古来開運良縁のしるしとして大切にされた。

鴛鴦文(おしどりもん)

おしどり夫婦と言われるように、鴛鴦は雌雄が仲むつまじいところから中国でも古くから夫婦の変わらぬ愛を象徴する鳥である。

尾長鳥文(おながどりもん)

キジ・山鳥・セキレイ・カササギなど、尾の長い鳥を抽象化して図柄に用いられている。
文様に使われたのは尾が装飾的に長くて美しい事と、近年は特別天然記念物として保護されていたからでもある。

雉文(きじもん)

主に春の花や木との組み合わせた図柄が多い。
江戸時代には羽の色が美しく繁殖力が旺盛なことから、子孫繁栄の願いをこめて図柄にされたとされる。

孔雀文・孔雀羽文(くじゃくもん・くじゃくはねもん)

孔雀が日本に伝わったのは奈良時代。
雄が雌に対し求愛のしるしに長く美しい尾羽を扇状に広げる動作を衣装の文様にしたものが多い。また、羽だけを文様化した孔雀羽文も用いられる。

鯉(こい)

中国では竜門という急流を昇った鯉はやがて竜になるとされ、出世魚として古くから尊重された。
文様では波間の鯉、鯉の竜昇り、鯉尽くしなどがある。

鷺(さぎ)

古代中国では、鷺は「路」と同じ音を持つため、「一路栄華」「一路功名」「一路連科」に例え、吉祥文様とされた。

鹿・鹿秋草(しか・しかあきくさ)

鹿は延命長寿を表すといわれ、古くから絵画のモチーフなどに使われてきた。奈良の春日大社や広島の厳島神社では神鹿(しんろく)と呼ばれ、神の使いとして崇められている。
鹿は単独で用いられるよりも、紅葉や秋草などの秋のモチーフとの組み合わせが主流。平安時代の小袖にも鹿と紅葉の文様が見られる。

獅子(しし)

獅子はライオンを示し、古代ペルシャでは太陽や王の象徴とされた。日本へは中国から伝わったが、姿を見たことが無い日本人は中国風の想像上の動物として受け入れ、唐獅子文として親しんだ。

樹下鳥獣文・樹下動物文
(じゅかちょうじゅもん・じゅかどうぶつもん)

大きな木下に、オウムや鴛鴦などの双鳥を向かい合わせて配置した文様を樹下鳥獣文。
鹿や獅子などをあしらったものは樹下動物文という。

瑞鳥唐草文様(ずいちょうからくさもん)

瑞鳥とは鳳凰を示す。中国の伝説で、鳳凰は天下太平のときに現れるめでたい鳥とされ、日本でも飛鳥時代から文様に使われ始めた。
この文様は鳳凰と唐草を組み合わせた吉祥文様の一つ。

雀(すずめ)

日本中どこでも見かける身近な鳥の雀は、場所や季節を問わず用いられるが、他の文様と組み合わせる事で季節感を出す事ができる。
ふくら雀は冬の寒さから全身の羽を膨らませた姿で意匠化され、「福良雀」ともいわれ縁起のよい文様として古くから愛用される。

雀円文(すずめえんもん)

2羽の雀を向き合わせて円の中に構成した文様。このほか、2羽の鸚鵡(おうむ)を向かい合わせにした鸚鵡円文、蝶を向かい合わせにした蝶円文などが有名。

立鶴(たちづる)

鶴が羽を休めて立っている所を文様化したもの。
凛とした立ち姿の美しい鶴は、平安時代以降、文様として用いられるようになった。

千鳥(ちどり)

文様に描かれる千鳥は鳥の種類ではなく、河原や海辺に見られる小鳥の総称。
いつも群れを成して飛ぶことからこの名が付いた。

蝶(ちょう)

中国では蝶を「ぼう」と読み、これは八十歳を意味する語と同様の発音であるため、長寿のシンボルとされる。

鳥獣戯画(ちょうじゅうぎが)

平安時代から鎌倉時代頃に生まれた日本最古の漫画で、鳥獣人物戯画とも呼ばれる。

鶴(つる)

平安時代から長寿延齢の瑞鳥として尊ばれた。
姿の美しさからも衣服や調度などの装飾に用いられ、その後には家紋となっている。

飛鶴・群鶴(とびつる・ぐんかく)

鶴が飛んでいる様子を文様化したもの。
群れを成して飛翔しているものは群鶴とも呼ばれる。

とんぼ

とんぼは「秋津」という古名があり、古くから親しまれてきた昆虫。
とんぼの文様は単独で用いられる他、植物と組み合わせて季節感を表現する事もある。
また、とんぼは物の頭(先)にしか止まらない性質があることから頭(かしら)に出世して欲しいとの願いをこめて、かつては男児の産着に用いられた。

花兎文(はなうさぎもん)

花とうさぎを組み合わせた文様。
桃山時代の豪商、角倉了以が愛用したとされる中国明代製の裂で、別称を角倉金襴ともいう。

花喰鳥(はなくいどり)

花を咥えた鳥の文様。
鳥の種類は鳳凰、鴛鴦、尾長鳥、鶴などで、咥えているものも宝相華、松、草などと様々。

鳳凰(ほうおう)

古代中国では、鳳凰は龍、亀、麒麟と共にめでたい時に現れる天の使いである四端の一つ。
日本で鳳凰の文様が使われるようになったのは飛鳥時代で、中国から伝わった鳳凰を基本に工芸品などに施されるようになった。

松喰鶴(まつくいづる)

花喰鳥文の一種。鶴が松の小枝を咥えたところを文様にしたもの。
もともと花喰鳥は鸚鵡などの異国の鳥で表現されたが、平安時代になると松喰鶴に変わり、一般に用いられるようになったとされる。

向かい鶴菱文(むかいつるびしもん)

翼を広げた鶴を菱形に図案化した文様。鶴菱ともいう。
二羽の鶴を向かい合わせ上下、または左右に組み合わせ、外側が菱形になるように構成。
有職文様の一つである菱形と吉祥の鶴を合わせることで、文様の格式が上がるといわれている。

龍・龍の丸文(りゅう・りゅうのまるもん)

龍は鳳凰と共に、古代中国で作り出された想像上の動物。
古くから、鳳凰・麒麟・亀・龍をめでたい時に現れる生き物として崇められてきた。
吉祥文様の一つとして工芸品や染織品に広く使われ、向かい合う2匹の龍は双龍(そうりゅう)、龍の尾と頭を繋げて円形にしたものは丸龍、龍を方形で表したものは角龍などがある。

 

date:2017.12.09

豆知識:着物の技法

 

 

 

 

朧染め(おぼろぞめ)

友禅染をより華やかに見せるために、金銀の箔や金属粉などで加飾したもの。

貝紫染め(かいむらさきぞめ)

アッキガイ科の巻貝から得られる染料を用いたことに由来する染色技法。
「王者の紫」「帝王紫」と呼ばれ高貴な色とされている。

型染め(かたぞめ)

型紙を用いて染める技法。型友禅、紅型など。

唐織(からおり)

西陣を代表する織の技法の一つで、糸を浮かせるように織ったもの。
あえて太い糸を、斜めに織り込むことでふんわりと立体感を持たせることができる。
生地は薄くすることで重さが軽減され、長時間の使用でも苦痛にならない。
「唐」という名前は中国から渡来したという意味では無く、
優れたものという美称で用いられる。

金駒刺繍(きんこまししゅう)

糸の周りを細い金紙で巻いた金糸を下絵に沿って這わせ、綴じ糸で留めたもの。厚みがあり煌びやかで、前身頃などメインの柄となる部分に
施されることが多い。

金彩加工(きんさいかこう)

友禅染をより華やかに見せるために、金銀の箔や金属粉などで加飾したもの。

金彩友禅(きんさいゆうぜん)

透明の溶剤・合成樹脂などと金属粉を混ぜ、筒紙から絞り出して描かれた柄。

金糸(きんし)

金箔などを糸に巻き付けたもの。

金通し・銀通し(きんとおし・ぎんとおし)

織物全体に、緯糸に金糸や銀糸、ラメ糸を織り込んだもの。

胡粉(ごふん)

貝殻を砕いたものを精製した白色顔料。単独でも、他の色と混ぜても使用することができる。通常の染料と違い生地に染み込んでいかないため、はっきりとした発色が特徴

相良刺繍(さがらししゅう)

蘇州刺繍・汕頭刺繍と合わせた中国三大刺繍の一つ。
生地の裏から糸を引き出して結び玉を作り、それを連ねていくことで模様を作る。

刺繍(ししゅう)

糸で絵や模様を表すこと。

絞り(しぼり)

染めない部分を絞り上げることで染め分ける技法。力加減により染め上がりが変わってしまうため、一つ一つ均一に絞り上げていく。
平縫い絞り、縫締め絞り、匹田絞りなど幾通りもの技法がある。

地紋(じもん)

生地に折り出された模様のこと。

汕頭刺繍(すわとうししゅう)

相良刺繍・蘇州刺繍と合わせた中国三大刺繍の一つ。
経糸と緯糸の間に針を入れて広げ、裏地が見えるような網目を作る。

全通(ぜんつう)

柄止まりが無く、帯の端から端まで全面柄があるもの。

総刺繍(そうししゅう)

絵柄が全て刺繍で表現されたもの。
その見た目の豪華さや制作に多大な手間のかかることから高値が付く。

総絞り(そうしぼり)

着物の生地全体を絞り染めにしたもの。

蘇州刺繍(そしゅうししゅう)

相良刺繍・汕頭刺繍と合わせた中国三大刺繍の一つ。
使用する糸が極めて細く、刺繍面が盛り上がらない。

竹屋町刺繍(たけやまちししゅう)

二条城の東に位置する竹屋町に集められた職人達が作り出す刺繍から名付けられた、伝統の京縫。織物のように見える、緯糸と緯糸の間に糸を留めていく技法。

たたき染め(たたきぞめ)

温めた蝋を筆や刷毛に含ませ、
生地に叩き落として防染することで粒状の模様を表現する技法。

経糸(たていと)

織物を構成する糸のうち、縦方向に向かっている糸。

縮緬(ちりめん)

撚りの弱い経糸と、撚りの強い緯糸で織られた織物。生地の表面にシボができるのが特徴。

つづれ織(つづれおり)

強い撚糸を使い、打ち込むことで経糸が緯糸に覆われて見えなくなるような西陣の技法の一つ。織り手の爪を櫛のように尖らせ、緯糸を柄に合わせて取り替えながら織ることで緯糸のみで柄を表現する。

手描友禅(てがきゆうぜん)

友禅染めの一つ。型染めの友禅に対し、手描き染めの友禅のこと。
糸目糊の防染により、一色一色が際立つ鮮明な染めが特徴。

天然染料(てんねんせんりょう)

植物や動物、鉱物などの天然原料から採れる染料。

天目染め・天目ぼかし
(てんもくぞめ・てんもくぼかし)

染めて乾かす前におがくずを掛けることで染料を吸収させ、まだら模様に染めること。

西陣織(にしじんおり)

京都市中心の北西部の地域で生産される絹織物のこと。
特定の織り方や織物を指すのではない。西陣は世界で最も長く継続した歴史を持つ高度な織物産地で、図案家や糸染業者、製織業者など各工程が分業で行われている。
古い歴史に培われた多彩な染織の技法が用いられる。

縫い取り(ぬいとり)

模様の部分のみ、地糸とは別の緯糸を通して織られたもの。生地の上に柄に沿わせて多方向に縫われる刺繍とは異なり、緯糸で絵柄が表現される。

箔加工(はくかこう)

金、銀、プラチナ、アルミなどの金属を叩いて、
紙のように薄く伸ばした箔を着物や帯地に貼りつけることで装飾したもの。

平縫い(ひらぬい)

糸と糸の間をあけずに縫うこと。

ふくれ織(ふくれおり)

二重織で表面をふくれ上がらせることで立体感を出す技法。

盛り上げ箔(もりあげはく)

粘度の高い糊を筒紙から生地に塗り、乾燥後に箔や金属粉を接着する方法。

屋久杉染め(やくすぎぞめ)

屋久島の樹齢千年を過ぎた屋久杉の根から抽出した染料を使った染色方法。

友禅・友禅染め(ゆうぜん・ゆうぜんぞめ)

日本で最も有名な染色法の一つ。
生地の上で色が混ざり合わないように糊で防染することで、糸目と呼ばれる白い縁取りができる。手描友禅や型友禅など。

緯糸(よこいと)

織物を構成する糸のうち、横方向に向かっている糸。

ラインストーン(らいんすとーん)

カットされたアクリル樹脂製のダイヤモンド類似石。
着物の柄の装飾や、重ね衿、帯〆の飾りに用いられる。

螺鈿(らでん)

オウム貝、夜行貝、蝶貝などの真珠光を放つ部分を磨いて薄片にし、種々の形に切って装飾するもの。虹色の幻想的な光が特徴で、着物の柄の一部や、帯の太鼓柄の飾りに用いられる。

ラメ(らめ)

微細な金属粉を表面塗装してキラキラと光るようにしたもの。
また、金属のような光沢を持たせた糸をラメ糸と呼ぶ。

臈纈染・蝋結染(ろうけつぞめ)

蝋を防染に用いる染色方法。
一般的な手描き友禅と異なり、糸目が無い絵柄が特徴。

蝋彩染め・蝋彩友禅
(ろうさいぞめ・ろうさいゆうぜん)

蝋を防染剤として染色する技法。

輪奈織(わなおり)

一越ごとに置いた針金の上から帯を織り、抜くことでループ状にする技法。
柄に立体感が生まれ、また帯を締めた後に緩みにくい。

 

date:2017.12.09

豆知識:小物の使い方

~帯〆~

帯〆は帯の形が崩れないように押さえるためのものです。大昔は大陸から伝わってきましたが、今では日本独自のものとなっています。女性が帯〆を使うようになったのは明治の終わり。
様々なデザインが誕生していますが、「平組(ひらぐみ)」「丸組(まるぐみ)」の2パターンが代表的。1本の帯〆を作るために1,000本もの糸が使われているそう。

 ~帯揚~

帯揚は帯枕にかけて使います。お太鼓が生まれた江戸時代の終わりころから帯揚げが登場し、今の形に近い帯揚げは明治の終わりころ作られたといわれています。現在の帯揚げは色柄・素材共にバリエーションが豊富。

  ~重ね衿~

着姿がより華やかになるように重ね衿を入れます。

 ~長襦袢(半衿付き)~

肌襦袢・裾除けの上に着用します。着物の裏の汚れを防ぎ、保温の効果も。
半襟:着物の衿に汚れが付くのを防ぐために、長襦袢に直接縫い付けます。様々な種類が半襟にはありますが大きく分けると「白半襟」「色半襟」と分けられます。また、素材も季節によって変えることができます。TPOに合わせて使い分けると◎

  ~肌襦袢~

肌に直接着用し、肌の汚れや汗などを取るものです。通気性のいいものや汗を吸い取りやすい生地が好まれています。

  ~裾除け~

肌襦袢同様に素肌につけますが、裾除けは着物の裾さばきをよくし、長襦袢の汚れを防ぐために使われています。足さばきの良くなるツルツルした素材が好まれています。

  ~補整用ガーゼ(さらし)~

補整下着を用いない場合、タオルを使用して補整をしますが、タオルが落ちないように固定する役割がさらしにはあります。この補整を行うことで、胸元の凹凸がなくなりスッキリとした着姿になります。

  ~ウエスト補整~

ウエストとヒップのくぼみを補うために補整を行います。この補整を行うことで、お太鼓がよりきれいに仕上がります。

  ~足袋~

昔は革製のものが多く指先が割れていないものだったが、室町時代以降に現代の足袋の形になりました。一般的に礼装では白地の足袋を履きます。

  ~衿芯~

衿の形が崩れないように長襦袢の半衿に芯として入れます。近年はポリエチレンやナイロン製のものも多くなってきています。

  ~腰ひも~

着付けに必ず使う紐のこと。着崩れがしないように、形を整えるために使います。紐を締めた時に苦しくなるのを防ぐために5㎝くらいの幅のものが一般的です。

  ~帯枕~

帯を結ぶときにお太鼓の形を整える時に必要なもの。帯結びや着物の格によって形や大きさを変えることもあるそうです。

  ~帯板~

帯を締める時に胴回りにしわをできにくくするためのもの。プラスチックのものが近年増えてきている。

  ~伊達〆・マジックベルト~

長襦袢や着物の衿元を合わせるために使うもの。着物レンタル365では伊達〆を長襦袢に、マジックベルトを着物に使うことをお勧めしています。

  ~扇子~

扇子は末広がりの形から「末広」と呼ばれることもあります。黒塗りの骨に金銀の地紙を貼ったものを一般的に礼装に用います。

  ~草履・雪駄・バッグ~

草履の種類は黒留袖や色留袖、振袖に使われる「礼装」、小紋や紬に使われる「しゃれ」という2パターンに大きく分かれます。草履と同様、手に持つバッグも礼装用と、しゃれ用に分かれています。
平安時代では草履は草や紙から作られていましたが、近年になり、コルク、フェルトなどを経て帯地やエナメル製が用いられるようになってきました。現在はいろいろなタイプの草履・バックが生まれていますが、用途に応じて自由に選ぶことができます。

  ~三連ひも~

振袖の飾り結びをするときに重宝します。トリプル紐など呼び方は様々。

  ~ショール~

冬の寒いシーズンに肩に掛けます。
薄手のものは、塵除けなどに用いる場合も。

  ~産着(帽子・よだれ掛け・お守り袋)~

帽子:生まれて間もない赤ちゃんを直射日光などから守るために帽子を付けます。
よだれ掛け:産着が汚れないようによだれ掛けをかけます。
お守り袋:参拝した神社で頂いたお守りを入れる袋のこと。

  ~羽織~

着物の上に着る丈の短いものを羽織といいます。着物を保護する役割もあります。

  ~羽織紐~

羽織の胸のあたりにつける紐のこと。組みひもを羽織の衿についた乳につけます。

date:2017.12.09

豆知識:着物の種類と柄

 

 着物の種類

~黒留袖(袷・夏物)~

留袖は、上半身に柄が無く裾だけに模様が入る黒地の着物です。「江戸褄(えどづま)」ともいいます。背・両袖・両胸の5か所に紋が入り、最も格が高い既婚女性の第一礼装です。金・銀・白の礼装用の小物、白の半衿、長襦袢、足袋を合せるのが決まりです。結婚式や披露宴などで新郎新婦の母親、既婚の姉妹、ご親族、仲人夫人が着用します。
「夏物」裏地のない単衣仕立てで、薄くて透ける生地の夏物の着物は盛夏の7月~8月に着られ、薄物とも呼ばれます。帯〆・帯揚や長襦袢も夏物をセットにしてお届けします。

 ~色留袖(袷・夏物)~

色留袖は、上半身に柄が無く裾だけに模様が入る着物です。当店では三つ紋の色留袖をご用意しています。
黒留袖の次に格の高い準礼装となります。既婚・未婚のどちらでも着用でき、式典の主役や、結婚式・披露宴などで新郎新婦の親族が着用します。
「夏物」裏地のない単衣仕立てで、薄くて透ける生地の夏物の着物は盛夏の7月~8月に着られ、薄物とも呼ばれます。
帯〆・帯揚や長襦袢も夏物をセットにしてお届けします。

 ~訪問着(袷・夏物・単衣・付け下げ)~

胸・肩・袖・裾などに模様がつながる様に染められた着物です。結婚式・披露宴・入園式・卒園式・入学式・卒業式などで着用できる略礼装です。パーティーや観劇、お出かけなどにもおすすめです。「単衣」、「夏」の表記がないものは袷の着物となっています。
「単衣(ひとえ)」裏地である胴裏と八掛を付けない単衣(ひとえ)仕立てのものは、6月、9月に着用します。現代では地域や気温に合わせて調節され、5月などにも着られます。
「夏物」裏地のない単衣仕立てで、薄くて透ける生地の夏物の着物は盛夏の7月~8月に着られ、薄物とも呼ばれます。
帯〆・帯揚や長襦袢も夏物をセットにしてお届けします。

 ~紬~

絹織物の一種で、真綿糸や玉糸などを用いた先染め・平織の織物のこと。全国各地で織られており、地名を付けたものが多く存在する。技術的に手間がかかるという特徴があります。

~大島紬~

鹿児島県奄美大島が発祥。結城紬と並ぶ高級紬の代表です。泥染めで知られており、独特の黒褐色の地色。光沢のあるしなやかな生地が特徴的。

~牛首紬・白山紬~

石川県の白山山麗のあたりで受け継がれてきた紬。釘に引っ掛けても破れないほど丈夫だとされ、強くしっかりとした独特の質感を持ちます。丈夫で軽く、滑りの良い生地です。

~結城紬~

茨城県結城市、栃木県小山市一帯で織られているもの。伝統的な技法で作られた結城紬は、国の重要無形文化財に指定されています。

~振袖(袷・ポリ)~

振袖は、訪問着と同様に胸・肩・袖・裾などに模様がつながる様に施されており、袖丈が長いのが特徴です。未婚女性の第一礼装として、二十歳の成人式や親族・ご友人の結婚式、結納、パーティーなどで着用します。袖を振る仕草は、「好き」「嫌い」のサインの他、厄払い・清めの儀式に通じます。結婚式や成人式の日に振袖を着ることは、人生の門出に身を清めるという意味を持つようになりました。

~卒業袴~

卒業袴は高校や短大、専門学校、大学の卒業式に学生や、先生が着用するお着物です。ちなみに卒業袴は二尺袖もしくは振袖の上から袴を着用します。当店では二尺袖の着物をご用意しております。

~色無地(袷・夏物)~

お茶席や知人の結婚式、お子様が主役のお宮参りや入学式・卒業式に着用します。ちなみに色無地は、白生地を単一色に染めた着物です。無地ですが生地に様々な地紋が入っています。当店では一つ紋の色無地をご用意しています。

 ~小紋~

小紋は普段着として、お友達とのお食事や買い物など手軽に着ることのできる着物です。ちなみに小紋は全体に細かい柄が継続して描かれているのが特徴の着物です。当店では半巾帯をご用意しております。

~産着~

産着は、生後間もない赤ちゃんがお宮参りに着る着物です。「掛衣裳(かけいしょう)」「熨斗目(のしめ)」ともいいます。お宮参りは地方によっても異なりますが、男児は生後31日目、女児は生後33日目の、ほぼ一カ月後に行われます。お子様の健康と幸福を祈り、氏神様への初めての挨拶として神社を参拝する際に包むように着せてあげます。男児の産着には五つ紋が付いています。

 ~男着物(アンサンブル・袴)~

男性の着物の第一礼装は黒紋付・羽織・袴です。着物と羽織にそれぞれ五つ紋がつきます。袴は縞柄の仙台平が最もフォーマルな装いです。帯は博多織や紋織の各帯、羽織紐は房付きの白、半衿と足袋も白が一般的です。成人式や、結婚式・披露宴で着用します。

 

着物の柄

 ~古典~

桜、菊、松、竹、梅など四季の花々を主体とした伝統的な柄が描かれているもの。流行に左右されにくいとされている。

 ~モダン~

洋花やモノトーン調を主体とした現代的な柄が描かれているもの。個性的なイメージがあり、流行に左右されやすいもの。

date:2017.12.09

豆知識:着物の始まりと現代の着物

 

 ~はじめに~

日本の着物は、いつの頃から今の様な形になったのでしょうか?
そんな思いから、お着物の歴史を旅していきたいと思います。
昔々の人々の暮らしと共に、着物は変化を続けて、今の着物の原型の「小袖」ができたのは平安時代でした。着物が生まれた、その頃に戻って着物の歴史をひも解いていきます。

 ~弥生時代~

三世紀に書かれた中国の歴史書「魏志倭人伝」(ぎしわじんでん)には、日本人の着ていたものが記録されています。男性は、一枚の布を身体に巻きつけ(巻布衣 かんぷい)、女性は、貫頭衣(かんとうい)という袖なしの衣服をきていました。貫頭衣はポンチョのように一枚の布に中央に首が通るほどの丸い穴をあけたもの。
身の丈の倍の長さの2枚の布を縫い合わせて横に二つ折りして中央付近は縫わないでそこから首を出したよう。
布を2枚あわせてできた貫頭衣は、縄紐(なわひも)を腰に巻けば体に固定することができました。
比較的暖かい日本ではこのような衣類が着られることになったようです。貫頭衣ができた後に、体温保持と身体保護のために両脇を縫い筒状の袖をつけました。
しかし袖をつけると着脱しにくくなり、そこで体の前の部分の縫い合わせを解いたようです。
ただし、前が空いているとそこから風が入って寒く、その対策でさらに前身頃部分が重なり合うように衽部分(おくみぶぶん)が付けられて、首回りの保護と防寒性向上のために衿が付けられたようです。
だんだん現在の着物の形に近づいてきましたね。

 ~古墳時代~

5~6世紀の古墳時代には、埴輪に見られるツーピース型の衣服を着ていました。
男性は、ズボンのようなもの、女性は、ロングスカートのようなものを下半身につけ、上半身には短衣を着用していました。
古墳時代の後期には、大陸の文化が入ってきて、日本人の衣服も大陸の影響を受けるようになりました。

 ~飛鳥・奈良時代~

7世紀になると、大陸文化の伝来で、中国から仏教が伝わりました。
女性の衣服はひざ下までと長く、袖巾もゆったりして、肩にはスカーフのようなものをかけていたようです。
男性は頭に冠をかぶり、詰め衿式の長い袍(ほう、 袖のながい衣)を着て、袴(はかま)をはいていました。
719年に元正天皇が「衣服令」を発布されて、衿は右を先に合わせる「左前」が用いられました。

 ~平安時代~

平安時代には遣唐使が廃止され、しだいに日本独自の服装に変わっていったようです。
「労働をしない身分の高い者は、ゆったりとした活動的でない衣服を着用する」
「労働をする身分の低い者は、ぴったりとした活動的な衣服を着用する」というものでした。
上流階級にあっては「活動的でない」ことがよしとされたことから、重ね着というものが普及していったそうです。
十二単に代表される重ね着という方法は、もともとは四季の変化が大きい日本の気候に対応して、気温の変化に合わせて重ねる衣服の枚数を変えることで日常を過ごせるようになりました。
この時代の庶民は、もっぱら「小袖」と呼ばれる衣服を着ていました。
「大袖」同様、貫頭衣に起源を発して、身頃に衽(おくみ)と衿、袖を付けたものですが、その袖は筒状で、労働をするのにふさわしい衣服というわけです。「小袖」とは現在の着物の原型で、小さい袖をもった衣類という意味ではなく、「小さい袖口をもった衣類」のことです。

~鎌倉から安土桃山時代~

 鎌倉時代に入って武家の世となっても、着ている着物は大きく変化しませんでした。
庶民から成り上がった武家が、それまでの支配者であった公家と同じ姿をとることで、自らを権威づけようとしたからだと考えられます。そして、私的な時間には、リラックスするために着慣れた衣服を着ていました。
室町時代には、武家男子は重要な儀式に出る場合には公家風の「大袖」衣服を着用して、通常の儀式には、武家独自の大袖を着用するようになりました。
日常的な生活では相変わらず「小袖」でしたが、武家が着用した「小袖」は絹地で、袖も袂(たもと)のあるものになりました。
袖の大きさは人の労働性と密接に関係しており、武家が身分の高さを象徴的に表現するためには、袖を大きくすることが必要であったともいえます。
その結果、袂はあるが袖口は小さいままの、現在のきものに近い形の「小袖」ができ上がりました。
さらに町人と呼ばれる人々が庶民の中から出て、絹地の「小袖」を着用するようになりました。
主に肉体労働以外の仕事で生活できた町人の小袖は当然袂をもつことができたのです。
労働に従事する庶民も、仕事以外の時間には、袂のある「小袖」を着用したと考えられています。
ほとんどの人々が、袂付きの小袖を着用する状況が生じた結果、「小袖」が当時の日本の衣服の中心的な存在となりました。

~江戸時代~

 小袖を構成する要素として、形のほかでは生地の素材、模様、加飾技法が大切な要素となります。この三つの要素の組み合わせが、それぞれの時代の様式を生み出しました。階層による好みと美意識が反映されてきました。
江戸時代には、男性と女性で服飾の内容に大きな変化が現れ、
「表」(公的な世界)と 「奥」(私的な世界) という二つの概念がありました。
男性は「表」の世界にいるもの、女性は「奥」の世界にいるもので、社会的な規則や決め事は原則的に「表」の世界にいる男性に適用される、という考え方でした。

日本では古くから、衣服によって身分を象徴させるということが行われてきましたので、江戸時代においても、建前上「表」の世界にいる男性は、衣服の固定化が身分制度の維持にとって重要であったため、衣服の自由な選択は許されませんでした。
そのため男性の小袖に多様さや、流行現象をほとんど生じることがありませんでした。
これに対して、「奥」の世界に生きる女性に対しては、社会秩序を乱さない限り、衣服の選択には比較的自由が許されていました。

~明治時代~

明治時代の女性の着物には、次の二つの様式が見られます。
一つは江戸時代後期の中流町人女性の小袖様式を受け継いで鼠色(ねずみいろ)を基調とする地味な地色の縮緬(ちりめん)や平絹地に、友禅染を中心に刺繍を併用して褄模様や裏模様を表した着物で、繊細な風景模様が見られるものが多かった。
もう一つの様式は、江戸時代後期の富裕な町人女性の小袖を受け継いだもので、主に振袖や打掛に見られる様式です。縮緬地に刺繍と摺疋田(すりひった染色法)で松竹梅の立木に鶴亀を表した、「蓬莱模様」(ほうらいもよう)の打掛などがあります。
江戸時代には、公家も日常に小袖を着ることが多くなり、「小袖」=「きもの」といわれるようになりました。
ただ、儀式には「大袖(広袖ともいう)」を着用していたため、それに対する言葉として「小袖」という言い方は残りました。
それが明治時代になり、「大袖・広袖」を着られなくなったので、桃山時代から使われていた「きもの」という言葉が和服を表す言葉となりました。

 ~大正時代~

褄模様(つまもよう、着物の裾の端につける模様)の形式をとりながら洋花をモチーフとし、それを油絵的な表現で表したものが多くなり、パリの万博をへて植物模様も流行しました。近代的な印象を与える新たな様式が着物に確立したといわれています。
着物も「大正ロマン」を感じさせるようないくつかの様式が見られるようになりました。
一つ目は日本的なモチーフを洋風な表現で表したもの、二つ目は西洋のモチーフを洋画の表現で表したもの、そして三つ目は日本の油絵に似た表現で模様を表したものでした。

 ~昭和時代~

昭和時代に入り、褄模様という構図上の特徴以外は、江戸時代の小袖の様式はほとんど見られなくなりました。
大正時代に見られた写生的な模様はさらに写実化を進め、一方それとは逆に、非常にデザイン化された模様も現れました。
また夏・単衣には、絽や紗のほか、特殊な生地を用いた涼しげな質感の生地が生まれて、友禅染や刺繍を用いて夏向きの模様を表した着物が出てきました。

date:2017.12.09

豆知識:着物・帯の仕立てと着物のお手入れについて

 

~着物の仕立て~

着物は反物を各パーツに裁ち縫い合わせてつくります。袖、身頃、衽(おくみ)、衿などで構成されていて、ほどけばまた一枚の布になります。

 ~着物の裁ち方(着物の表布)~

着物は並幅約九寸八分(37cm)の一枚の布を裁ち、縫い合わせてつくります。
裁ち方はすべて直線です。反物の長さは、お着物をお仕立てする際、通常、身長とヒップから算出します。だいたい12m前後になります。反物の裁断図はパーツ別に袖×2、身頃×2、衽(おくみ)×2、衿×1、共衿×1、となります。
表布のほかに細かい付属品が必要です。衿裏、八掛(裾回し)、胴裏、衿芯など 着物の種類に合わせて、以上のものを用意した上で、表布を裁断します。そのパーツを縫い合わせて着物を仕立てあげます。
着物の仕立ての種類は、袷仕立と単衣仕立があります。袷は、裏(胴裏と八掛)をつけて仕立てたもので、これに対して裏をつけずに仕立たものが単衣です。

 ~誂染 (あつらえぞめ)~

着物を買い求めるとき、自分の寸法や年齢に合わせての色柄で一から染めることができます。
白生地の地紋を選んだり、裄(ゆき、袖の長さ)の長い人は生地幅の広い反物を使用し寸法を合わせます。
次に、色見本を見ながら話し合い、着物の色柄を決めます。悉皆屋(しっかい屋)は白生地に「墨打ち」を行ってから、染屋に注文します。
※「悉皆」とは、着物に関する相談を受けてくれる、今でいうなら、着物プロデューサーのことです。
※「墨打ち」とは、パーツの裁断で目印になる「記号」です。

 

 ~帯の仕立て~

着物と同じように、帯にも仕立てが必要です。帯の種類や素材、目的に合わせて仕立て方を決めます。
帯には一般的に帯芯を入れますが、厚みは好みで調節することができます。

 ~袋帯~

適度な厚さの帯芯を入れて、手先とたれ先をかがります。
袋帯の織り方には二種類あります。
表と裏を最初から袋状にして織ったもの。
もう一つは、表と裏を別々に織り、ミシンで縫い合わせたものです。
どちらも、基本的には帯芯を入れて仕立てます。

~なごや帯~

なごや仕立て、鏡仕立て、付け帯(二部式)などがあります。
なごや仕立て:お太鼓の部分、三尺(約114cm)を幅八寸くらいに、胴に巻く部分を半幅に仕立てる方法。
鏡仕立て:胴に巻く部分を半幅にしないで、開いて仕立てる方法で、背の高い人に合わせたバランスがとれる。
付け帯:帯結びを楽に行うために工夫されて、胴に巻く部分、お太鼓の部分、手先の三つを組み合わせたもの。

 

 ~紋を入れる工程~

紋は家のお印として儀礼的な装飾に用いるもので、和服や調度品などに付けられています。
紋の起源は平安時代の中期頃、動植物や天文、文字などの形をとって衣服や武具などに付け、持ち主を明らかにしたことから始まったとされています。

~紋の格と種類~

紋の格は、技法と図柄の表現形式によって決まり、技法は染めと刺繍に大別されます。
染め紋には紋の形を白く染め抜く「染め抜き紋」や、色で紋を描くものがあります。
染め抜き紋が最も格が高く、ほかの染め紋や、刺繍による縫い紋は略式となります。

 ~染め抜き紋(染め紋)~

染め抜き紋は、「染め抜き」と言うとおり、地色を抜いて紋を入れます。
色無地や付下げなどは、黒留袖や喪服と違い白い円(石持ち)がなく紋を入れる為に白地を作らなければなりません。抜染剤や抽出剤などを使い、ご指定の家紋の形をした型紙を利用して漂白を行い、その上に手描き紋を入れます。

~縫い紋~

使い勝手がよく重宝されます。お好きな色の糸で紋を入れることができます。
家紋を金銀糸・共色濃淡糸で忠実に刺繍したものは、軽い略礼装用に。
多彩な色糸使いで家紋をアレンジしたり、絵画的なデザインで表したりすると、非常に趣味性の強いおしゃれ着向きにもなったりします。

 

~着物のお手入れ~ 

少しの手間をかけるだけで、長く大切な着物を愛用することができます。
着物は洋服以上にデリケートです、お気に入りの着物を長持ちさせるためにも着物のお手入れが必要です。

 ~洗い張り~

着物をほどいて、一枚の布にして洗濯する方法です。
染め替え、リフォームなどを行う場合は、着物を一度ほどきます。着物はもともと一枚の長い布を裁って着物の形に縫ったものです。ほどいて縫い合わせれば、元の形に戻るという仕組みのため、いろいろなメンテナンスができます。
しかも、仕立て直す際に同じように縫う必要はなく、しみの落ちない部分を移動するなども可能です。着物が日常着だったころの日本人は、定期的にこうした手入れを自分で行ってきました。

 ~しみ抜き・カビ落とし~

繊維につくしみは、水溶性と油性に大別されます。
醤油やジュース、酒、汗などの水溶性のしみは、主に洗剤と水で落とします。
化粧品などや、ドレッシングなどの油性のしみは、揮発性の油で落とします。
カビが表面についたものは丸洗いをした後にカビ落とし加工をします。
カビが繊維に入り込んだものは、着物をほどいて洗い張りをし、その後で処理をします。
しみもカビも気がついたら、早めに専門店へ相談をしてくださいね。

~染め替え~

染め替えとは染め直しともいい、着物の地色を変えることを言います。
小紋の柄を替えたり、色無地を小紋にしたり、と自由自在です。
もとの柄を生かして地色だけ染め替えることを「地色替え」といいます。染料がしみ込まないように模様の部分に糊を置いて染め直すため、絵羽の部分に箔や刺繍などがあっても大丈夫です。
模様も含めて全体に地色をかぶせる(目引き染)や、現状のものに刺繍などで模様をプラスする方法もあります。

date:2017.12.09

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